今日はキスの日。君は二葉亭四迷となって誰かとこの日を楽しむことにする。 どのチケットを選ぶ? 坪内逍遥ならピンクのチケット(四逍) 山田美妙なら青のチケット(しめびみょ) 男司書なら緑のチケット(四司書(男)) これらの色を覚えておいて今二葉亭の手元には白いチケットが一枚ある、 先に進もう[[001へ -> 001]] ※注意書き:上記()内のカップル表記が嫌いな方は注意してください。選択肢を押し間違えると見てしまう可能性があります。二葉亭が談話室に行くと喋ったりくつろいだりしている文豪たちがすごしていた。 カードゲームを囃している山田美妙や、年少組に物語を語って聞かせている坪内逍遥、他の文豪と立ち話をしている男司書が認められた。 二葉亭はどんな行動を取る? 美妙に声をかけるなら[[002へ -> 002]] 逍遥の読み聞かせの輪に入るなら[[009へ -> 009]] 男司書たちの立ち話に耳を傾けるなら[[015へ -> 015]]二葉亭が声をかけると美妙はちらっと彼を見たがそのまままたカードゲームの行方に目を戻した。 無視されたのかもしれない。 二葉亭は 無視するなと突っかかるなら[[003へ -> 003]] 一緒にゲームを眺めるなら[[004へ -> 004]]「いつからいたんです?長谷川君。全然気が付きませんでした」 美妙はウインクしながら答えた。 「嘘つけ。いつもの仕返しか?感じ悪いな」 二葉亭はついつい言いすぎてしまう。 「そんなつもりは……。あぁ、面白い勝負になってきましたよ!御覧なさい」 美妙は言うと、二葉亭の背中をとんと突いて、彼がちょっとバランスを崩している間に逃げていってしまった。さして興味もなかったものの、カード勝負の行方を美妙の隣で静かに見守っていると、美妙が言った。 「なんだか退屈そうな顔してません?長谷川君。カードを見るのに飽きたら僕についてくるといいですよ」 「!?」 珍しいことを言ってくるものだと二葉亭は思い疑問の表情になったが、美妙はすぐに動き出していてもう部屋から出ていっている。 二葉亭は慌ててその後を追った。[[005へ -> 005]]美妙はどんどん走っていく。どこへいくのかと追っていけば図書館内にこんな場所があったのかというような中庭のような小さなホールのような場所だ。緑が多く配置されている。時折植物のためなのか、上から細かな霧が吹き出されていた。 「こんな場所初めて来るな」と二葉亭が言うと、美妙は得意げに胸を張った。 「でしょう?僕は秘密の場所を見つけ出すのが得意なんですよ」と口外無用というように口に指先を当てて見せた。 「ね長谷川君。ちょっとしたゲームをしませんか」 美妙は言って、いつの間にくすねたのか、4枚のトランプを裏返しのまま広げて見せた。 「お前、取ってきたのか?」 二葉亭はまずいぞと言いたげに訊く。 「まあまあ、話を聞いてくださいよ。こん中から僕が1枚カードをめくりますから、長谷川君は残りの3枚のうち僕より強いカードを引いてください。そしたら、君の勝ちということにしましょう」 美妙はどちらかというとヘラヘラとした調子でそう言った。 「お前が10ならジャック以上、キングならエースを出せば勝ちということでいいんだな?」 「そういうことです。もし、君が勝ったら、いいモノをあげます。僕が勝ったら……」と美妙は考えていたがニヤッと笑って、 「みんなの前でくすぐりの刑にしましょう」と笑い声で言った。 二葉亭は、 「くすぐりの刑になんてされてたまるか」と競争心を顕にした。 「それじゃいいですね。まずは伏せたままカードを切って、僕が1枚とりますね」 美妙がカードを表にすると、9のカードだった。 「じゃ君の番です。ここに3枚あるうちのどれかを引いてください」 美妙が裏向きにして持っているカードを二葉亭は指差す。 二葉亭が指差したのは、 美妙の右手から1番目のカード[[006へ-> 006]] 2番目のカード[[007へ-> 007]] 3番目のカード[[008へ -> 008]]表にされたカードはエースだった。 「へあぁ」と美妙は変な声を上げておまけに顔を赤くしいしい、二葉亭の頬にチュッと音を立てて慌てたようにキスをすると、なにかしらの反撃が来る前に猛スピードで逃げ去ったのである。カードを表に返すと……それはトランプではなく青いチケット入手カードだった。 二葉亭のチケットが青になった。 [[018へ -> 018]]カードを表に返すが、2だった。 「あっはは、僕の勝ちぃ!ささ、一緒にみんなの前まで行って君がくすぐられ悶えるところをみんなに見てもらいましょうね」 「おいっやめろっ」 「約束は約束ですよーっ?」 大喜びの美妙は嫌がる二葉亭を再び談話室へむかってひっぱって行くのだった。二葉亭は逍遥の読み聞かせに耳を傾ける。 子供の外見をした文豪たちがストーリーにわくわくし、それぞれどうなるのかを想像して自分の考えを言い合ったりして楽しんでいる。 そしてそのうちに物語は終わり、逍遥はみんなを解散させた。 そこで初めて、話を聞きながらうとうとしてしまった大きなお友だちに気づいて苦笑した。 逍遥は二葉亭に言った。 「はい、もうお話は終わりだよ。めでたしめでたし」 「ん……はっ!?」 話に耳を傾けていたはずが語りての逍遥に見つめられ、しかも聴衆はいつの間にかいなくなっていたので二葉亭は周りを見回し、逍遥の顔を見て目をパチクリさせるしかなかった。 「うたた寝から目覚めたかい?」 「すみません、一緒にお話を聞いていたはずがいつのまにか寝てしまっていたようで」 二葉亭は気まずそうに頭をかいた。 「いいよ構わないから。読み聞かせも終わったし、一休みしようか」 「ご一緒していいんですか」 「もちろん」と逍遥は二葉亭と肩を並べて歩き出した。 [[010へ -> 010]]「庭でも歩いてこようか」 逍遥が言い、二葉亭も同意して二人は庭へ出た。 今の時期はあちこちに花の香りが漂う。ハーブの濃い香り、薔薇の甘い香り。 木々の下、人はまばらでいても緑に分断されて視界が遮られる。 そこは隠れ家のようでもあった。 歩きながら予想しない時に逍遥が二葉亭を振り返って見上げる。 「今日はねキスの日なんだってね」逍遥が言った。 「キスの日ですか。現代はずいぶん言葉がオープンになって良いんだか悪いんだか……」 「いいじゃないか。なかなか言い出せないことも、こういう日なんだよと決めてしまうところがかわいらしい」 「そうですか?」 「わたしたちなら例えば、子羊を愛でる日。子犬を可愛がる日。子猫と遊ぶ日。手を繋ぐ日。デートの日。後は……共寝する日、とかね」 「逍遥さん」 「言葉に出来る、望みを、パッと名前をつけて存在させる。いいことじゃないか。遠いいつか起こるかもしれない夢に名前をつけて行事化するというのは」 うん?と二葉亭は引っかかる。 手を繋ぐ、デート、共寝……そしてキス。逍遥はサラッと言ったけどそれは。 二葉亭は心臓の存在感が増すのを感じながら言った。 「逍遥さんはそういう思いを持たれているんですか」 「好きな人と二人きりで……」と逍遥は言い、そのまま語尾は小さくなった。 二葉亭は、 「キスの日というのは」と逍遥の手の甲にキスするフリをするなら[[011へ -> 011]] もうこの話題はやめておくことにしたなら[[013へ -> 013]] 二葉亭が膝まづくようにして手の甲にキスするフリをすると、逍遥が切なげに見下ろしている気がした。 「私は……お嬢様でも奥様でもお姫様でもない。そういうポーズをされると恥ずかしいよ……」 逍遥は言い、自分の手の甲を隠そうとする。 二葉亭は、 その手をつかむふりをしてそっと頬にキスするなら[[012へ -> 012]] 尊敬していることを伝えるなら[[014へ -> 014]]「ひぇ?しめ……くん?」 頬にキスされたその後逍遥の頬は両方赤くなった。 「キスの日って……えあその要求したわけでは……」 逍遥は大汗をかいて慌てて弁解する。 「逍遥さん」 二葉亭は今度はその慌てて動く唇にそっとキスを落とした。 二葉亭の持つチケットがピンクになった。 [[018へ -> 018]]二葉亭はこのなんともいえない空気が気まずく思われ、話を変えた。 逍遥は付き合ってはくれたものの、庭歩きは平凡なものとなった。「うん、君の気持ちはありがたい」 逍遥はそういいながら、少し曇ったような表情をし、二葉亭はそれ以上彼を晴れやかな気分に誘うことができなかった。男司書は他の文豪と朗らかに話していたが、話が終わったらしく、彼らと別れた。 「司書」 二葉亭は呼びかけた。 「二葉亭先生」と司書の表情は柔らかくなった。 「司書。今日はキスの日だったよな」 例年からの恒例行事を思い出し二葉亭は言った。 「あー今日がそうでしたっけ」 司書は軽い調子で言う。 「そうでしたっけじゃなく、返事にキスぐらいくれてもいいんじゃないか?身を粉にしてお前のために尽くしているというのに」 「えっ」 司書が固まった。 「くれないならこっちから奪いに行っても構わないよな?」と二葉亭は司書の肩を抱え込み、さっさと司書室に誘導した。[[016へ -> 016]]司書室の戸を閉めて、二葉亭はじっと司書のことを見つめた。 「二葉亭先生?」 二葉亭は司書のそばに行って、彼を抱きしめた。 「どうしたんですか?」 キスの日を実行に移すのかと思っていた司書は意外に思ったのだ。 「近頃お前をずっと遠くに感じるんだ。俺とお前の距離が開いて、繋いでいた手が遠く離れていく……」 司書はそれを聞いていたが、 「それは私がどうしても特務司書を全力で務めることが出来ないからだと思います。けれど心配なさらないでください」 司書は静かにそう言った。 [[017へ -> 017]]二葉亭が感じる司書との距離。 司書が全力で文豪たちの情報を集め、彼らを拡張していけないならおそらく文豪たちは司書が蘇らせた転生体として拡張していくことはできないのだ。 大部分を欠落したまま彼らは美しい姿でこれからも存在し続ける。 二葉亭のチケットが緑になった。 [[018へ -> 018]]二葉亭の持っているチケットの色は? 青[[019へ -> 019]] ピンク[[020へ -> 020]] 緑[[021へ -> 021]]「僕思うんですけど」と美妙は言った。 「キスの日もいいとは思うんですけど、君と僕のムチの日の方がとっても刺激的だと思うんですよね。ほら、僕ら同じ写真に収まった仲じゃないですか!」 二葉亭にとっては少々忌々しい召像のことを美妙は蒸し返す。 「どんな仲だ。それにあの写真はお前は傷一つないのに俺は顔に傷を負い、なんとはなしに忌々しいから思い出したくない」 「また~!あの召像はね、しめびみょの聖典……いえいえ、聖画と呼ばれているんですよ!しめびみょ界ではね!」 「そんな界はないし、聖画ってなんだ」 「フッフッフ~。そんなこと言って長谷川君、僕との熱いキスの日を誤魔化そうったって上手くは行きませんよ!」 「あ~もう!勘弁してくれ」 二葉亭が走って逃げるのを美妙が待ってくださいよ~!と追いかけるのだった。 おわりです。Double-click this passage to edit it.「四迷くん……お願いがあるんだ」 思いつめた様子の逍遥に二葉亭は全力で答える覚悟で続きを待った。 「あのその……抱っこしてくれないかな!」 「抱っこ……ですか?」 二葉亭は一瞬目が点になったがすぐに元に戻って、両手を広げ全力で逍遥を待ち受けた。 「四迷くん!」 「逍遥さん!」 走ってくる逍遥を二葉亭が抱え、ガシッとばかりに抱き上げる。 「うわぁ……四迷くんの懐は温かいねぇ……逍遥ビックリですよ」 「逍遥さん?」 動作が狂ってきた逍遥を案じて二葉亭は声をかけたがピュアな逍遥は彼の腕の中でいろいろと飛んでしまっていたので仕方がないのだった。 「逍遥さん」 思い直して二葉亭は大好きな相手の名を呼び、注意を引いた。 「はい四迷くん?ああ、そうか。もう下ろしてくれて構わないから!本当にありがとう」 慌てる逍遥の口元を鎮めるような仕草をし、二葉亭はまた唇を寄せたのだった。 おわりです。「司書、キスの日にいつも同じようではつまらない。どこにして欲しい?」 二葉亭が面白そうに司書に問うた。 男司書は考え、 「唇や頬、額、手の甲はよくあるものですから耳や目や足なんかはどうでしょうか?」 「少しマニアックだな。まぁいい。お前がそれでいいなら構わない」 二葉亭はまず、司書の耳に軽く歯を当て、まぶたに唇を押し当て、それから膝下に何度もキスを散らした。 その後、二葉亭が自室に帰ってから司書は物思いに沈んだ。 司書が知識を集め存在を支えていかない文豪たちは姿だけは美しいただの文豪ではないアイドルになる。ただの憧れの形……。 しかたがないのだろうと司書はガランとした書棚を意識しながら思った。 おわりです。